国内の過剰在庫を減らすために、輸入を抑えます。この結果、日本の貿易黒字が急拡大し、円相場が上昇することになります。はじめに指摘した「景気が悪いと円高」という“逆転”現象は、八〇年頃から目立ち、九〇年代に入っても続き、不況→円高が一段の成長減速という悪循環に陥ることもしばしばです。九五年春の円急騰は、日本の株価下落と歩調を合わせるように進みましたが、これは「株安が日本の景気の腰折れを先取りしており、その場合は内需が減り日本の対外黒字縮小のテンポが一段と鈍る」という連想から投機筋が円買い・ドル売りを進めたことも響いています。米国の景気動向がどう為替相場に影響するかは、読みにくくなっています。九四年には、米景気の拡大が鮮明になりましたが、“教科書的理論”によるドル買いは進まず、むしろ景気拡大→輸入増加→貿易赤字縮小の遅れ、という見方からドル売り圧力が高まりました。九五年初めには、米国の金融引き締めの効果により、インフレを起こさずに景気が順調に減速するとの見方が増え、いったんドル買いが増えました。しかし、その後は減速ではなく一気に米景気が後退するとの懸念が強まってドル売り材料になりました。景気後退で貿易赤字が減るとみるよりも、金利先安観からドルを買いにくいという声が強まったためです。